研究概要 |
酸化還元能のある共役系分子として、二つのイソアロキサジン環のフェニル部を共有して同方向(軸対称)につながったベンゾ-ジプテリジンを新規に合成し、酸化活性を酸化還元電位、基質酸化能より評価した。酸化還元電位(pH 7.0)は-195mV,-620mVであり四電子受容が可能であることがわかった。チオ-ルの酸化速度は通常のフラビンモデル化合物より、10^3〜10^4倍はやいであることがわかった。二つのイソアロキサジン環を反対方向(点対称)で連結した類縁体の酸化活性より著しく低いことがわかった(1/10000)。ニ電子還元型は分子内に還元型と酸化型フラビン骨格を有するが、と異なり、酸素に安定な電荷移動錯体形成は見られなかった。この理由については現在検討中である。 共役系分子としての6-アザフラビンは水素アクセプタ-部位が一つ増えたフラビンモデル化合物で、グアニジニウムイオンを有するメラミン誘導体により、クロロホルム中で強力に捕捉される。会合定数、酸化還元電位を用いた熱力学的サイクルより、6-アザフラビンのアニオンラジカルとの会合定数を算出した。アニオンラジカルとの会合定数は酸化型のそれより10^3〜10^5倍大きいことがわかった。レセプター分子との水素結合の数と水素ドナーの酸性度がアニオンラジカルは安定化に寄与していることが明らかになった(-ΔG=10〜13Kcal/mol)。電子の出入りによる会合定数の劇的な変化は分子スィッチなどの超分子の設計に寄与すると考えている。
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