ベンゼン(BN)を添加剤として用い、ミリング時間を4-40時間で変化させた(Mg/G)_<BN>試料について、3MPaの水素で水素化した後、0.1MPaの水素雰囲気下、昇温速度5K/minでDSCを測定した。比較のために行ったMg単独のDSCでは、707Kに吸熱ピークが現れ、XRDよりこれはMgH_2の分解に対応することがわかった。(Mg/G)_<BN>では、ミリング時間を延ばすとともにDSCピークの形、数、位置が著しく変化した。4時間ミリングした試料では644KにMgH_2分解のピークが一本見られるのに対して、10、20、30時間ミリングするとピークは低温側にシフトすると同時に2-3本に増加した。さらに40時間では612Kにほぼ一本のピークとして現れた。これらの吸熱ピークがそれぞれ何に基づくかを検討するため、同一の試料を用い同様に3MPaで水素化後、減圧下で昇温脱離(TPD)を行い脱離ガスをマススペクトルで調べた。脱離ガスは水素でTPDとDSCの結果はよく対応し、DSCの吸熱ピークがすべて水素由来のものであることがわかった。 また、特徴的なDSCを示した20時間ミリングした(MG/G)_<BN>について、水素化における水素圧依存性を検討した。DSCピーク強度と数には明らかな水素圧依存性が認められ、0.5MPa以下では一本のDSCピークしか見られないのに対して、0.7MPa以上に加圧すると2-3本に増えその強度も著しく増加することがわかった。0.5MPa以下の水素圧で見られるDSCピークはXRDよりMgH_2の分解によることが確かめられた。これらの結果より、グラファイトカーボンとMg金属を複合化することによってマグネシウム以外の新たな水素の貯蔵サイトが生成することが示唆される。
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