研究課題
中国江蘇省には胃・食道がんの罹患率がともに高い地域(揚中市、淮安市)と低い地域(?州市)とがあり、その両地域は食生活などライフスタイルが著しく異なる。本研究の目的は、両地域に焦点をあて胃・食道がんの同時比較疫学研究を実施し、両部位のがんに特異的、または共通した環境・宿主要因を解明することである。今年度は、環境要因と宿主要因の相互作用を解析する目的で、淮安市で113名を対象に質問票による環境要因情報の収集と末梢血からのDNA採取を同時に行い、これまでに採取された淮安市の50名の環境・宿主要因データと合わせ、性・年齢がマッチできた食道がん患者52例、胃がん患者19例、住民対照者50例に関して解析を行った。nitrosamineの代謝活性に関わる遺伝子多型を有するCYP2E1のRasI遺伝子と8-OH guanineの修復酵素に関わる遺伝子多型を有するhOGG1多型の解析では、胃・食道がんのリスクと有意な関連は認めず、昨年度までに解析されたデータを用いた症例や対照ごとの高率・低率地域比較においても差は明らかでなかった。しかし、環境・宿主要因の相互作用解析に対する症例数は未だ不十分であり、現在も質問票調査とDNA採取を継続している。今後、更に症例数を増やした上で両要因の相互作用を解析する予定だが、CYP2E1の活性を抑えるニンニク高頻度摂取群と低頻度摂取群ではオッズ比が逆の方向性を示す傾向があり、今後の興味ある課題である。環境要因に関しても、課題となっていた低率地域での症例・対照研究の症例数が200例に達し、今後、詳細な解析を行う予定である。また、来年度から同フィールドで新たに始まる大腸がんの環境・宿主要因の探索研究に関し、フィールドで使用可能な半定量食事質問票開発の準備も平行して行い、今年度内に作業を開始することができた。
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