研究課題/領域番号 |
11138213
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80240703)
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研究分担者 |
藤江 肇 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
新谷 良澄 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
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キーワード | C型肝炎 / トランスジェニックマクス / コア蛋白 / 肝細胞癌 / 肝炎 / 脂肪肝 |
研究概要 |
1.コア遺伝子トランスジェニックマウスでは、3か月齢から肝において脂肪滴の著明な蓄積を認めた。この脂肪化(steatosis)は進行性であり、9が月齢では肝重量の50%が脂肪となっていた。炎症所見は全く認められなかったが、16か月齢以降に肝にアデノーマ、肝細胞癌を発生した。肝腫瘍は、脂肪化した正常肝細胞の中から生じ、それを圧排するように存在した。さらに、脂肪化の強い比較的良性な腫瘍の中から、悪性度の高い肝癌が「結節中結節」の形で発生してきたが、後者にはほとんど脂肪が認められなくなっていた。 2.コア遺伝子トランスジェニックマウス肝においては、ミトコンドリア膜の構造に異常が認められた。すなわち、正常の二重膜構造が消失し、ミトコンドリア膜機能に異常の存在することが示唆された。 3.肝細胞癌発生前の肝においては、hyperplasia, dyspalsia等の明らかな前癌病変は検出されなかった。また、BroUの取込み、PCNA染色においても16か月齢までのマウスにおいては正常対照マウスとの間に差を認めなかった。 4.TUNEL法によって肝細胞癌発生前のトランスジェニックマウス肝におけるアポトーシスの増減を検討した。正常対照マウスに比してアポトーシスの増加、減少は認められなかった。また、抗Fas抗体(Jo-2)の腹腔内投与によるアポトーシス誘発についても正常対照マウスに比して差は認められなかった。 HCVコア遺伝子トランスジェニックマウスにおいては初期より脂肪肝が発生し、マウスの寿命の後半において肝細胞癌が発生した。肝腫瘍は、脂肪化した正常肝細胞の中から生じ、それを圧排するように存在した。さらに、脂肪化の強い比較的良性な腫瘍の中から、悪性度の高い肝癌が「結節中結節」の形で発生してきたが、後者にはほとんど脂肪が認められなくなっていた。肝の脂肪化、早期肝癌の脂肪化、「結節中結節」としての悪性度の上昇と脂肪化の消失は、ヒトC型肝炎関連肝癌における性状と酷似している。今回の我々の結果は、HCVコア蛋白が肝発癌に関与していること、HCVその者が肝発癌に直接的に関与していることを示している。脂肪化の発生においては、ミトコンドリアの機能異常が関与していることが明らかになった。電子伝達系、呼吸鎖の経路とコア蛋白との関わり、また核内受容体との関わりから現在解明を進めている。
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