研究課題/領域番号 |
11138237
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (90274133)
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研究分担者 |
小松 賢志 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)
田内 広 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70216597)
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キーワード | ナイミーヘン症候群 / 高発癌性遺伝病 / 毛細血管拡張性運動失調症 / 放射線感受性 / 遺伝子標的法 / モデルマウス / 胎生致死 / Nbs1 |
研究概要 |
Nijmegen(ナイミーヘン)症候群は、免疫不全と高発癌性、発育遅滞を特徴とする染色体不安定症候群である。細胞レベルでは毛細血管拡張性運動失調症(AT)と同一の染色体不安定性と電離放射線高感受性、放射線抵抗性DNA合成の形質を示す。今回、マウスNbs1遺伝子内にpGKneo-pAを挿入した置換型Nbs1ターゲッティングベクターを作成し、電気穿孔法でES細胞内へ導入して、G418耐性ES細胞コロニーを実体顕微鏡下で採取した。234個の細胞クローンのうち3つのクローンが遺伝子組み換え体であった。細胞クローン2種類をブラストシスト内へそれぞれ注入し、偽妊娠マウスの子宮へ移植して、キメラマウスを誕生させた。これをC57BL/6と交配して、PCRスクリーニング法でNbs1遺伝子欠損へテロマウスを同定した。マウス個体から組織を採取して、RT-PCR法およびウエスタンブロット法で解析し、Nbs1がヘテロに欠失していることを確認した。Nbs1ヘテロマウスは正常に発育し繁殖可能であり、表現型で野生型マウスと差異を認めなかった。F1ヘテロマウス同士の交配を行い、Nbs1ホモ欠損マウスの作成を進めているが、これまでのところホモ欠損マウスの誕生は見られず、Nbs1が胎生期に必須の因子である可能性が示唆された。現在、胎生致死の可能性を考えて胎生期で胚発生異常の有無を検討している。さらに胎生期のホモ接合変異体から細胞株の分離を試みており、この細胞株について染色体不安定性、放射線感受性、放射線照射後のp53発現誘導などを解析して、Nbs1遺伝子の機能解析を進めている。
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