研究概要 |
1. DNAワクチンはnaked plasmidの形で、マウスに筋注して用いた。pMAM_<neo>, pEFBOS, pcDNA3等の各種プロモーターを用いて行った。C型肝炎ウイルスコア蛋白に対しては、再現性をもって、強い細胞性免疫応答を誘導することは困難であった。B型肝炎ウイルス表面抗原に対しては、DNAワクチンにより細胞障害性Tリンパ球を誘導することが可能であり、技術的な問題でなくC型肝炎ウイルスコア蛋白の免疫原性が低いと考えられた。 2. 樹状細胞は、マウス骨髄から細胞を採取し、GM-CSF, IL-4とともに培養を行って誘導した。形態的に特微的な樹状突起を有していた。FACSによる細胞表面マーカーの解析では、樹状細胞に特徴的とされる強いMHC classIとIIの発現が見られ、また33D1で認識される抗原やCD11cも陽性であった。活性化刺激を行った後では、DEC-205も陽性となった。 次にこの様に誘導された樹状細胞の抗原提示能を脾細胞と比較・検討した。予め樹立してあったC型肝炎ウイルス蛋白特異的なヘルパーT細胞のラインに対してそれぞれの抗原提示能を細胞増殖試験で検定した。樹状細胞は、脾細胞の100分の1の数で2倍以上の抗原特異的細胞増殖を誘導した。また120個のアミノ酸の長さのウイルスコア蛋白と混合した後、樹状細胞を洗浄しても効率よくヘルパーT細胞ラインを刺激したことから、培養された樹状舳胞は抗原蛋白を取り込むことが可能であり、取り込んだ後、抗原エピトープとなるようにプロセスし抗原提示することが可能である事が確認できた。 3. in vitroにおける結果に基づいて培養した樹状細胞に合成ペプチドあるいはウイルス蛋白を添加した後、マウスに腹腔内あるいは静注投与した。細胞障害性Tリンパ球の免疫応答を測定したところ、非常に強い細胞障害性が観察されたが、C型肝炎ウイルスコア蛋白特異的ではなかった。
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