研究課題/領域番号 |
11140241
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 惠司 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50162699)
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研究分担者 |
池中 一裕 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00144527)
森内 秀祐 大阪大学, 医学系研究科, 助手
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キーワード | Glioma / MAFE gene family / SAGE / Retrovirus / Promoter / Gene therapy |
研究概要 |
グリオーマ細胞において、MBPやGFAP遺伝子の発現に差があることから、グリオーマ全般に広く適応する遺伝子治療を確立するには、グリオーマ細胞に最も普遍的に発現している遺伝子ををクローニングし、そのプロモーター領域を同定することが肝要である。本研究では、このグリオーマ普遍発現遺伝子およびそのプロモーター領域をSAGE法(Serial Analysis of Gene Expression)を用いて同定し、新たなベクター構築することでグリオーマ全般に対する遺伝子治療法を開発することを目的としていた。しかし、1999年中頃には、Cancer Genome Anatomy Project(CGAP)の一環として米国で積極的に行われていた原発性グリオーマに対するSAGE法分析の結果がインターネット上に公開された。この公開されたデータと、私共が独自に実証してきたデータの中で共通して高い発現量を示していたsec61 gamma遺伝子に対するプロモーターの同定を3ヶ月行うも十分な結果が得られなかった。一方、この一連の実験の中で、MAGE family遺伝子に40-50%の相同性を示す未知の遺伝子(GS-1)を同定することができた。このGS-1遺伝子の分子量は882bpと473bpであり、グリオーマ組織のみならず、正常脳と卵巣に特異的に発現していることが実証された。今後、このGS-1遺伝子の全長をクローニングし、その機能を検討すると共に、この遺伝子のプロモーター領域を同定していく予定である。そして、同定されたプロモーターで制御されたlacZ遺伝子組み込みレトロウイルスベクターを構築して、各種ヒトグリオーマ細胞株中におけるベクター活性を他のベクターと比較検討すると共に、このプロモーターで制御したHSV tk遺伝子組み込みレトロウイルスベクターを構築し、悪性グリオーマに対する遺伝子治療をin vitroおよびin vivoモデルを用いて実施する予定である。
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