研究課題
高度進行胃癌に対する化学療法が著効し胃切除術が可能となった例を組織学的および細胞学的に詳細に検し、抗癌剤に感受性の高い胃癌の特徴を明らかにしようとした。胃癌において、FLEP療法(5-fluorouracil、leucovorin、etoposide、cisplatin)が奏効し、胃切除が可能になった18例は、5生した5例(A群)と5生に至らなかった13例(B群)に分けられ、A群には、胃癌取扱い規約によるsolid type poorly differentiated adenocarcinoma(STPDC)が多く、B群にはtubular adenocarcinomaなどその他の組織型が多かった。STPDCは、抗癌剤感受性の高い組織型の一つと考えられた。本型の細胞学的特徴を、MDR1(p蛋白)染色性、粘液マーカー、腫瘍マーカー、増殖マーカー(Ki-67・c-myc・cyclin D1・p53)などから明らかにすることはできなかったが、組織構造的には間質に血管が豊富なタイプであると言えた。他施設からのMTX+5FU療法著効1例にも同様の組織型が含まれていることが分かり興味が持たれた。今後、STPDCを化学療法感受性の高い組織型としてその細胞学的特徴を詳細に検討する必要がある。
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