研究課題/領域番号 |
11144225
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
貝淵 弘三 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00169377)
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研究分担者 |
天野 睦紀 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (90304170)
門田 裕志 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (10294282)
稲垣 直之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20223216)
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キーワード | 細胞間接着 / ユビキチン / プロテアソーム / 脱ユビキチン化酵素 / Fam / AF-6 / β-catenin |
研究概要 |
ユビキチン/プロテアソームの蛋白質分解系は、様々な生理機能に重要な役割を果たしている。ユビキチンによる蛋白質の翻訳後修飾は、蛋白質分解のための標的シグナルとして機能する。この修飾は可逆的であり、細胞内には蛋白質に結合したユビキチンを解離させる脱ユビキチン化酵素が多数存在するが、その基質については不明な点が多い。 私共は、低分子量G蛋白質Rasの標的蛋白質AF-6の結合蛋白質として脱ユビキチン化酵素のFamを同定した。私共は、AF-6は、ユビキチン化を受け、FamがAF-6のユビキチン化を阻害することを見い出している。したがって、AF-6はFamの基質である可能性が高いと考えられた。昨年は、AF-6のノックアウトマウスが報告され、細胞の極性異常が認められた。この結果は、AF-6が正常に細胞間接部位に局在することが、細胞の極性制御の不可欠であることを示唆している。したがって、FamがAF-6の安定化を制御する機構が非常に重要なことを意味している。また、私共はFamがCadherin依存性の細胞間接接着分子b-cateninと結合することを見出した。Β-cateninもユビキチン化を受けることが報告されており、β-cateninもFamの基質である可能性が考えられた。本年度、私共は、繊維芽細胞を用いてFamの安定発現株を樹立した。この細胞株では、β-cateninの発現レベルの上昇、β-cateninの半減期の伸長が確認できた。この結果は、Famがβ-cateninの分解機構を制御していることを示唆する。 細胞間接着は接着分子の分解、移動等の現象で制御されている可能性が高い。本研究は、Famgs2つの細胞間接着分子AF-6とβ-cateninの蛋白質分解を阻害することを明らかにした。私共のこれらの成果は蛋白質分解による細胞間接着のメカニズムを理解する上で、極めて重要であると思われる。したがって、本年度の研究計画は、ほぼ達成することできたと考えている。
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