研究課題/領域番号 |
11144241
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
横田 正幸 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40148648)
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研究分担者 |
西道 隆臣 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (80205690)
山浦 生也 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50239844)
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キーワード | 局所脳虚血 / 神経細胞死 / カルパイン / フォドリン |
研究概要 |
脳梗塞の動物実験モデルである局所脳虚血におけるカルシウム依存性蛋白質分解酵素のカルパインの役割について調べた。砂ネズミの中大脳動脈を3時間閉塞し再灌流し脳梗塞を作成した。中大脳動脈閉塞30分前にカルパイン阻害剤(ALLNal)を静脈内投与し脳梗塞容積に及ぼす影響を調べた。またカルパインによって分解される神経細胞骨格のフォドリンに対する抗体で虚血後の脳組織で免疫染色を行いカルパインの活性化を調べた。これは光顕と電顕との両方で調べた。脳梗塞サイズはカルパイン阻害剤の虚血前投与によって有意に縮小した。縮小の程度は用量依存性であった。免疫染色では光顕レベルでは虚血後早期より後に梗塞巣となる部位にカルパインの活性化が起こりフォドリンの分解が観察された。これは時間経過とともに増強し梗塞中心部とその周辺のペナンブラ領域で認められた。カルパイン阻害剤によりペナンブラ領域で免疫染色性が低下した。また電顕では虚血中心の神経細胞では一瞬のうちに神経細胞全体でフォドリン分解が進行していった。ペナンブラ領域では虚血によりシナプス後部から神経細胞中心部へとフォドリン分解がみられたのが、カルパイン阻害剤投与でこれが減少した。以上より局所脳虚血でもカルパイン活性化がおこっておりこれが特にペナンブラ領域の梗塞発生の関与していると考えられた。カルパイン阻害剤はこれを抑制することにより脳梗塞を縮小させられると考えられ臨床応用への期待がもたれた。
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