RAD23ホモローグと26SプロテアソームのサブユニットS5a蛋白質との相互作用の意義を探る目的で、無細胞蛋白質分解反応系を用いた解析を行った。その結果、ユビキチン-プロテアソームを介した蛋白分解反応に対して、RAD23ホモローグが阻害的に作用することを見いだした。これは、RAD23ホモローグがS5aと結合することによって、ユビキチン化された分解基質蛋白質のプロテアソームとの相互作用を拮抗的に阻害した結果であると考えられた。即ち、RAD23ホモローグはプロテアソームによる蛋白質分解反応に対して、新しいタイプの制御因子として機能する可能性を持つことが示唆された。一方、HR23A、およびHR23Bそれぞれのノックアウトマウスを交配して二重欠損マウスの作成を試みた。二重欠損マウスは個体レベルでは致死的であると考えられたが、8.5日胚より二重欠損線維芽細胞を単離することに成功した。この二重欠損細胞はXPC欠損細胞と同等の紫外線感受性、および不定期DNA合成活性を示したが、紫外線照射後のRNA合成の回復能は正常であったことから、XPC変異細胞と同様に転写と共役したヌクレオチド除去修復機構は正常で、ゲノム全体で働く副経路に特異的な欠損を持つことがわかった。さらに、この二重欠損細胞ではXPC蛋白質の発現量が著しく低下していたことから、RAD23ホモローグがXPC蛋白質の安定な発現に重要な役割を果たしていることが示された。以上の結果から、RAD23ホモローグはゲノム全体で機能するヌクレオチド除去修復機構に必須であると同時に、おそらく蛋白質分解系の制御を介して個体の発生、分化、成長においても重要な機能を果たしていることが強く示唆された。
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