SRKラットおよびヨタリマウスのテヘロ親を交配し、生後0日より21日までのSRKラットとヨタリマウスを得た。それぞれの同腹の対照動物の脊髄、視床外腹側核、一側大脳皮質にワサビ過酸化酵素(HRP)あるいはデキストランアミンを注入し、運動野の皮質脊髄路ニューロン、視床皮質投射ニューロン、脳梁交連系ニューロンを逆行性に標識した。 標識皮質脊髄路ニューロンは、正常動物では皮質第5層に限局して存在した。一方、SRKラット・ヨタリマウスでもSRKラットと同様に、標識ニューロンは皮質の全層に分布した。標識皮質視床投射ニューロンは、正常動物では運動野の第6層に限局して分布した。SRKラット、ヨタリマウスともに標識ニューロンは運動野の軟膜直下に限局して分布した。標識脳梁交連線維系ニューロンは、正常では皮質の表層(第2/3層)に分布したが、SRKラット・ヨタリマウスともに皮質の深層に脳梁交連線維系ニューロンが逆行性に標識された。さらに正常動物とミュータント動物の脊髄にFast Blue(FB)、視床外側腹側核にDiminido Yellow(DY)を注入して、皮質脊髄路ニューロン、皮質視床投射ニューロンをそれぞれ標識し、相互の位置関係を調べた。すると正常動物では、FBで標識された皮質脊髄路ニューロンは運動野の第5層に、DYで標識された皮質視床投射ニューロンは皮質第6層に分布した。一方、SRKラット・ヨタリマウスではFBで標識された皮質脊髄路ニューロンは運動野の全層に分布するが特に深層に多く分布し、DYで標識された皮質視床投射ニューロンは皮質の表層に分布した。以上より、SRKラットとヨタリマウスの運動野の構造は逆転構造をとることが明らかとなり、リーラーマウスの皮質構築異常に極めて類似することが証明された。
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