研究概要 |
酵母と動物細胞において、組み換え酵素RecAへの機能的類似蛋白質は複数存在する事が見い出されいる。我々はRecA非依存性組み換え機構について解析を行い、本新規組み換え系に関わる遺伝子としてsrp遺伝子群を同定した。srp遺伝子群は27K, 15K, 34K蛋白質をコードする3つの遺伝子からなり科学研究費補助金により助成を受けその後の研究を行った結果、これらの遺伝子はいずれも低コピープラスミドによりrecA欠損変異株に導入した場合、recA欠損変異に起因する組み換え能の欠損を相補した。接合による組み換えの測定の結果ではrecA野生型株とほぼ同等の組み換え効率であった。これらの結果からSrp依存性の新規組み換え系は測定した組み換え効率測定に用いた定常期の細菌細胞においては高効率に組み換えする事が分った。同時に本新規組み換え系はsrp遺伝子群のいずれが導入され、細胞内の発現量が増大する事によって組み換え機能の亢進が行われる事が分かる。また得られた接合体をPCR法により判定した結果、調べた全ての接合体は相同的組み換えの結果生じた事が分った。 データベース検索等によりSrp34K、Srp15K蛋白質のホモローグがH. influenzaeからB. subtillsまで細菌界で広く高度に保存されて存在し、Srp34K蛋白質はシヤペロン活性を、またSrp15K蛋白質は一本鎖および二本鎖DNAと結合するDNA結合蛋白質である事が分かった。このSrp15K蛋白質の性質は組み換え蛋白質RecAと共通である。そこで先ずSrp15K蛋白質について今後、生化学的な検討を行う予定である。
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