研究概要 |
(研究の目的)マラリアのワクチン抗原として様々な分子が同定され、ワクチン開発がなされている。その抗原の効果を引き出すのにアジュバントが必要であるが、ヒトに応用可能なアジュバントはまだ十分に開発されていない。結核の予防ワクチンBCG菌はヒトに使用できるアジュバントの中で最大の活性をもし安全性も高い。我々は、抗酸菌の分泌蛋白質α抗原をキャリアーとして外来蛋白質をBCGから分泌させるシステムを作製した。このシステムを用いてネズミマラリアの系で赤内型マラリア原虫の感染防御に成功した。このシステムをヒトに応用するため、ヒト型のP.falciparumの防御抗原SERAをBCG菌から大量に発現分泌させることを試みた。 (今年度の成果及び考察)1.これまでにP.falciparumの防御抗原SERA(SE47')をコードする合成遺伝子全体とN末端部(SE47'-N),C末端部(SE47'-C)に二分割した断片をそれぞれα抗原遺伝子内に挿入し、組み換えBCGを作製した。それらを培養後、培養上清中の蛋白質にSE47'が分泌されていることを確認した。その結果、培養上清中に、SE47'の存在を確認することができた。 2.次ぎに、SE47'の発現が確認された組み換えBCGをマウスに免疫し、抗体産生誘導能について検討した。マウスは6週令のBALB/c,♀を用いた。組み換えBCGをマウスの皮下に3回接種し、最終免疫後10日目に抗血清を採取した。そして抗SE47'抗体価をABC-ELISA法で測定したところ、400倍希釈で抗SE47'抗体の産生が認められた。
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