研究課題/領域番号 |
11147224
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
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研究分担者 |
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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キーワード | Plasmodium falciparum, / Diversity in the length of ring form stage, / Recrudescences, / Switching of the initiation of intracellular growth, / in vitro culture, / 2DD electrophoresis, |
研究概要 |
これまでの研究で熱帯熱マラリア原虫の再燃が薬剤耐性に関わりなく生起する原因として休止原虫が強く示唆された。しかし、この概念だけで再燃を明らかにすることはできない。再燃を解明するには休止原虫の概念が正しいとすると、どんな原虫がどのように通常の細胞周期から外れて休止しある日数の後に再度活性化して増殖するかを説明できる仮説が必要である。そこで再燃実験を繰り返し以下の結果を得た。1再燃は薬剤処理を受ける原虫数に依存する。2処理期間を延長すると、再燃を起こすためにはより多数の原虫が必要になる。3異なる薬剤濃度における再燃は薬剤処理を受ける原虫数によって決まり、薬剤濃度には依存しない。4再燃原虫に繰り返し再燃を起こした場合、再燃の起こり方、原虫の増殖速度は各再燃原虫間で同じである。5異なる抗マラリア剤治療において再燃が起こる。6実験において再燃した原虫は薬剤処理前と同程度の薬剤感受性を示す。これらの結果から次の仮説が得られた。原虫集団中のリングフォーム原虫は長さの異なるリングフォームステージを有する。このリングフォームステージが治療期間よりも長い場合原虫は生残し短い場合は殺される。リングフォームステージの長さの違いは原虫の赤血球侵入後の発育開始の遅延が原因となって発生するか、あるいは発育開始後に発育速度が低下することが原因となって発生する。再燃のメカニズムを探るため、発育速度の変化を取り上げるとこの仮説では通常速度の低下と低下速度の通常速度への復帰の少なくとも2変更点の機構を解明しなければならない。一方、発育開始遅延においては赤血球侵入後に1回スイッチがオンするメカニズムを考慮すればよい。そこで、より単純な系、発育開始のスイッチがどのようにオンするか明らかにするために、リングフォーム原虫を経時的に採取してそれらの蛋白質を2次元電気泳動で比較する研究を開始し現在データの蓄積中である。
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