研究課題/領域番号 |
11148208
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
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研究分担者 |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (40219168)
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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キーワード | シグナル伝達 / ストレス応答 / キナーゼカスケード / 肝形成 |
研究概要 |
SEK1/MKK4やSEK2/MKK7は、炎症性サイトカインなどの様々なストレス刺激に応答し、SAPK/JNKを活性化するキナーゼである。我々の成果を含め多くの報告が、T細胞の活性化やTNFαによる細胞応答にSEK2を介すSAPK/JNKの活性化の重要性を指摘している。本年度は、以下の諸点を明らかにした。 1)Cre-loxPを用いた条件付き遺伝子破壊法によって、sek2遺伝子破壊を誘導した。興味深いことに、SEK2欠損よって既にES細胞レベルで致死になることが判明した。 2)SEK1ノックアウトマウスの解析から、SEK1欠損マウスは肝臓形成に必須の役割を果たすことを明らかにしてきたが、造血の場である胎児肝の形成過程と造血との関わりを詳細に解析するために、胎児肝を特異的に認識するモノクローナル抗体を複数作製した。このうちの一つ抗Liv1抗体は胎児肝を特異的に染色した。興味深いことに、SEK1欠損胎児肝にはLiv1陽性細胞は観察されなかった。また、成体肝では、Liv1陽性細胞は肝実質細胞に比べて小さな細胞として少数しか存在しないことが明らかになった。肝幹細胞である可能性を検討中である。 3)SAPK/JNK系は、T細胞の活性化やThl/Th2分化の制御、あるいは、アポトーシス誘導や生存シグナルとしても機能することが示唆されている。c-Junを代表とする既存の標的分子だけでは、上記の生理機能を理解することは不充分であると考え、新規標的分子を探索した。その結果、成体マウス肝の核画分よりc-Junとは異なる分子量40kのタンパク質が、SAPK/JNKの良い基質となることが明らかとなった。
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