ゲノム刷込みを受ける遺伝子がクラスターとして存在するマウス7F4/F5領域はヒト11p15.5領域とシンテニーをなし、Beckwith-Wiedemann症候群、Wilms腫瘍をはじめとする小児固形腫瘍などの刷込み関連疾患の責任座位を含んでいる。本研究では、ゲノム刷込み領域の構造特性を明らかにし、疾患関連刷込み遺伝子を単離するため、当該領域のゲノム解析を行っている。平成11年度はゲノム構造解析の最終段階に入り、以下の成果を得た。 1.まずマウスの当該領域およそ1MbをカバーするYAC、BAC、コスミドクローンの整列化と物理地図を完成させ、報告した。得られた整列化BACクローンをショットガン法とND法を併用してシークエンスし、2個のクローンについて完了した。残りのクローンについては配列のギャップを閉じる最終作業に入った。 2.ヒトとマウスの配列比較によりH19遺伝子の下流に合計10箇所の保存された領域を同定し、トランスジェニックマウスを用いた個体レベルの検定により7つが組織特異的エンハンサーであることを示し、報告した。 3.また、H19上流の刷込みセンター内にある保存された配列が、メチル化感受性のDNA結合蛋白質の認識配列であることを見つけた。 4.さらに、新しい刷込み遺伝子を探すため、得られた配列と一致するESTやCpGアイランドを同定し、またMARのコンセンサス配列をマッピングした。 これらの成果は間もなく報告する予定である。
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