研究課題/領域番号 |
11151209
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
久堀 徹 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40181094)
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研究分担者 |
田口 英樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (40272710)
大坂 武男 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (80152099)
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キーワード | チオレドキシン / 葉緑体 / ATP合成酵素 / タンパク質相互作用 / 酸化還元 / ジスルフィド結合 |
研究概要 |
本研究では、まず、標的酵素(ATP合成酵素)とチオレドキシン(Trx)との相互作用の解析を行った。ATP合成酵素では、複合体の中心部分のサブユニットγがTrxの標的を持っているため、このサブユニットを中心に変異導入を行った。調節に直接関与するCys(ホウレンソウ由来のATP合成酵素γサブユニットの^<199>Cysと^<205>Cys)近傍に、アミノ酸側鎖の電荷の変更、アミノ酸数残基の削除などの変異を導入したが、Trxとの相互作用に直接影響を与えるような変異は見つからなかつた。 葉緑体由来のATP合成酵素とTrx(f型とm型)との相互作用については、葉緑体から直接単離精製したATP合成酵素とリコンビナントのTrxf型とm型を用いて検討した。両者の相互作用を調べているが、今のところ両者の親和性の違いを示す積極的なデータは得られていない。 次に、植物葉緑体内のTrxと相互作用する標的タンパク質の全容を解明するために、実験系の整備を行った。植物葉緑体内にTrxがどの程度含まれているかを抗Trxポリクローナル抗体染色法を用いて評価した。さらに正確な定量を目指して、現在合成ペプチドを抗原としてモノクローナル抗体を作成している。また、アフィニティークロマトグラフィーにより、標的となるタンパク質の探索を進めている。 活性調節の分子機構の研究では、葉緑体ATP合成酵素のγサブユニットの回転を蛍光顕微鏡下で直接観察することに成功した。γサブユニットの調節部位近傍については、調節機能を担う二つのCysの近傍に変異を導入することで、調節機能に直接関与するアミノ酸配列の同定を試みた(投稿準備中)。さらに、γサブユニットの調節領域を含む150アミノ酸残基を安定に複合体が得られる好熱菌複合体の発現系に導入した。得られた好熱菌複合体は、酸化還元や阻害サブユニットであるεサブユニットによって調節され葉緑体酵素よりも安定で遺伝子操作も容易であり、非常に有用なモデル実験系である(J.Biol.Chem.in press)。
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