研究課題/領域番号 |
11152101
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 秀生 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30111610)
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研究分担者 |
矢倉 達夫 関西学院大学, 教授 (90142108)
倉石 立 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60195526)
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キーワード | 細胞移動 / シグナル伝達 / 非受容体型チロシン蛋白キナーゼ / 形態形成 / 一次間充織細胞 / ウニ胚 |
研究概要 |
本研究計画期間中にウニ胚一次間充織細胞が胞胚植物極上皮から胞胚腔へと移入し、細胞移動活性を持っている間充織胞胚期において抗ヒトFAK抗体と結合するタンパク質にチロシンリン酸化が発生段階特異的に起きることを発見した。この現象は一次間充織細胞形成とその移動活動の獲得に関連していることが示唆されたので、胞胚から一次間充織細胞が移入してからその移動基壁として使われる細胞接着蛋白のパムリンを分離し、in vitro条件下で間充織細胞胚から分離した一次間充織細胞に加え、抗ヒトFAK抗体結合タンパク質でのチロシンリン酸化を観察した。その結果、生体内同様のチロシンリン酸化が生じ、パムリン処理時間を種々に取ってチロシンリン酸化が起きる動態を観察すると、生体内で一次間充織細胞が移動活性を持っている期間に相当する時間内でチロシンリン酸化の程度が増減することが判明した。細胞移動基壁であるパムリンが一次間充織細胞へ抗ヒトFAK抗体結合タンパク質はヒトのFAKとは分子構造的にかなり異なっていることから、その分子量を元にP62蛋白と命名した。次に、P62は免疫組織化学的分布から非受容体型チロシン蛋白キナーゼであることが推測されたので、このタイプのチロシン蛋白キナーゼ阻害剤で胚を処理すると一次間充織細胞の形成が不完全になり、それ以降の形態形成運動が可逆的に阻害された。さらに一次間充織細胞中のP62は異常に亢進したチロシンリン酸化を引き起こしていることが解明され、形態的観察と一致する所見を得た。パムリンと結合できる細胞膜にあるFR-1R蛋白は抗体を用いたcDNAライブラリーの検索と、その後のcDNA配列解析から細胞接着蛋白群として知られるイムノグロブリンスーパーファミリーに属する可能性を明らかにした。
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