(1)DnaK-DnaJの相互作用に関して Synechocystis sp. PCC6803株の3つのDnaKおよび4つのDnaJを用いて、酵母2ハイブリッドシステムによる相互作用の検定を行った。3種のDnaK baitおよび4種のDnaJ preyを作製し検定したところ、DnaK1をBaitにしたときは、それ白身のみで転写活性を示してしまい比較が出来なかったが、これ以外のすべての組み合わせのうち、DnaK3とDnaJ3のペアが際だって高い活性を示した。したがってDnaKとDnaJの共同作業にはパートナーシップの特異性があることが示唆された。一方、DnaJにはDnaKと相互作用するといわれているJドメイン中の保存配列HPDがあるが、この配列に変異を導入したものは活性が落ちていた。 (2)DnaKの基質認識における特異性に関して PCR変異法を用いてDnaK3の基質認識ドメインに変異処理を行い、宿主に戻すことによって温度感受性になった株を得た。このうちいくつかの株において変異点を同定したが、その多くが基質を取り囲むように並ぶβシート構造の中に落ちていた。温度感受性変異株の一つL436S株から得られたサプレッサー変異については、クローニングの結果、50SリボゾームのL24サブユニットにマップされ、その変異は6アミノ酸の重複によるものであった。L24はリボゾームのアセンブリーに関与するサブユニットといわれており、リボゾームのアセンブリーにDnaKが関与している可能性もある。パートナーであるDnaJからも遺伝的解析をおこない、温度感受性変異株を単離した。これらの変異点はいずれもJドメイン内に落ちていた。
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