糸状菌Aspergillus nidulansのcsmAはキチン合成酵素のN末端側にミオシンモーター様のドメインを持つタンパク質をコードする遺伝子でありこの破壊株は菌糸の途中が膨らむ構造と菌糸内菌糸を生じること、この表現型はキチン合成酵素ドメインのみを発現させただけでは回復できないことをこれまでに明らかにした。今回はこのCsmAタンパクの細胞内での局在と動きを検討するため染色体上のcsmA locusでCsmAのORFのC末端にGFPが繋がる形のタンパクを発現できる株を作製したが、菌糸中にGFPのシグナルを検出することはできなかった。この遺伝子のプロモーターを強力なものに変えた株では顕微鏡下で菌糸内全体にドット状の蛍光が見られたが、この株の菌体抽出液に対する抗GFP抗体を用いたウェスタン解析では予想される220kd程度の位置にバンドを検出することはできなかった。そこでCsmAのN末端側にGFPが繋がる形のタンパクを発現できる株を作製しプロモーターを強力なものにしたところ、菌糸内全体にドット状の蛍光が見られたがやはり菌体抽出液に対するウェスタン解析では220kdの位置に安定してシグナルを検出するには至らなかった。またCsmAのミオシン様ドメインの機能をin vitroで解析するためこの部分とGFP連結したタンパク質をin vitroの転写・翻訳系により作製を行い抗GFP抗体を用いたウェスタン解析を行ったところこの融合タンパクが効率良く合成されていることが明らかとなった。
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