研究概要 |
他施設から診断以来のあったものを含め、多数のSCA6症例について、その臨床症状の詳細な解析を行いその臨床症候の特徴を明らかにした。 また、ヒト脳におけるα1A-Caチャンネル遺伝子の発現を検討し、mRNAは広く神経系に発現しているものの小脳に圧倒的に多く発現しており、かつそれはとくにプルキンエ細胞に多いことを初めて明らかにし、SCA6がプルキンエ細胞に優位の細胞死を来たし(JNNP,1999)、ほぼ純粋な小脳失調症をきたすことをよく説明できることを示した。さらに、α1A-Caチャンネ蛋白に対する特異抗体を作製して、この蛋白の中枢神経系各部位での発現状況を明らかにするとともに、SCA6ではプルキンエ細胞の細胞質中に特異的封入体ができることを初めて明らかにした(Hum Mol Genet,1999)。 培養細胞系を用いた研究では、HEK細胞にCAGリピートが正常および異常に伸長しP型とQ系の∧α1A-Caチャンネル遺伝子を導入し、そのチャンネル機能をパッチクランプ法により検討し初めてP型チャンネルではCAG伸長でCa流入が有意に減少することvセらかにした(J Biol Chem,in press)。現在、さらにノックインマウスの作製を進めている。 すでに、我国には臨床・病理所見がSCA6とほぼ同一ながら原因の異なる症例(non-SCA6)が、SCA6とほぼ同様に多数存在することを指摘してきたが、現在候補遺伝子を含め連鎖解析を進めており原因となる遺伝子座を見出し(論文投稿中)、さらに原因遺伝子の同定に向けて研究を進めている。
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