本研究では、パーキンをはじめとした病因性蛋白質の構造研究を目指した。 1)パーキンは結晶化の試料を得るために大量発現について検討した。本蛋白質は大腸菌により発現させるとInclusion Bodyを形成し、可溶画分に得ることができないことが他明らかとなった。このためInclusion Bodyより界面活性剤などを用いて目的蛋白質を可溶化することを検討し、年度内に可溶化した試料を調整する予定である。 2)病気との関連でβ-アミロイドのβ鎖の形成に対する種々の金属イオンの影響をしらべるためチオフラビンというβ構造に特異的に結合する蛍光色素を用いて調べた。この結果、いづれの金属イオンの添加によってもβ構造への転移が押さえられることが分かった。特に、Znなどの添加ではこの傾向が強く現れる。 3)白血病に関連したヘリカーゼの発現と結晶化 白血病においてDNAと結合し巻き戻す役割を担うヘリカーゼの構造研究のため、大腸菌およびバキュロウイルスを用いて発現系を構築した。その結果、両システムにおいて蛋白質を単離できることがわかった。現在のところ、大腸菌の1リットルの培養から2mgの酵素が精製できることがわかった。現在、さらに多くの酵素を得るため精製の改良を検討している。
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