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1999 年度 実績報告書

神経栄養因子による中枢神経細胞死の防御における細胞内シグナルの解析

研究課題

研究課題/領域番号 11157219
研究機関大阪大学

研究代表者

畠中 寛  大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (60208519)

研究分担者 山田 雅司  大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (90304055)
池内 俊彦  大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20093362)
キーワードアポトーシス / PI3キナーゼ / BDNF / AKtキナーゼ / JNKキナーゼ / チロシンリン酸化 / 高カリウム培地 / ニューロトロフィン
研究概要

Shp-2C/S mutantを発現したニューロンでは、BDNFによるチロシンリン酸化する蛋白質のうち少なくとも4つの蛋白質においてチロシンリン酸化の増強が観察され、そのうち1つはBIT(brain immunogloblin-like molecule with tyrosine-based activation motifs)/SHPS-1であることを見いだした。また、TrkBやTrk及びGrb-2の免疫沈降物中に含まれる蛋白質のチロシンリン酸化は、Shp-2 wild-type及びC/S mutantに影響されず、Shp-2がこれらの蛋白質を基質としていないことが明らかとなった。BDNFによるMAP kinaseの活性化は、Shp-2のホスファターゼ活性に影響されず、Shp-2はMAP kinaseの活性化を制御をしている可能性が低いことが解った。さらにBDNFの生存維持効果に対する、Shp-2のホスファターゼ活性の役割を検討し、Shp-2がBDNFの生存維持効果の一部を担っていることを明らかにした。
SCGニューロンにおいては、Shp-2が細胞死を誘導することが報告されているが、大脳皮質ニューロンにおいてはむしろShp-2は生存上昇効果を持つことから、中枢神経系と末梢神経系とでは、ニューロトロフィンのシグナルが大きく違うこと、中でもShp-2がその違いに関わっていることが予想される。Shp-2・BIT/SHPS-1のシグナルにおける非常に興味深い現象として、BDNF刺激に対し高カリウムによる脱分極刺激を同時に起こすとBIT/SHPS-1のチロシンリン酸化が抑制されることを発見した。最近Shp-2・BIT/SHPS-1が記憶の形成といったシナプスの可塑性に関与している可能性が示唆されてきた。それ故、以上の結果は、BDNFのシナプス可塑性の機能を解析する上で重要な知見と考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 荒木敏行: "Role of phosphatase activity of Shp-2 in BDNF signaling in cultured cerebral cortical neurons"J. Neurochem.. 74. 659-668 (2000)

  • [文献書誌] 稲村直子: "The role of p53 in DNA strand break-induced apoptosis in organotypic slice cultures from the mouse cerebellum"J. Neurosci. Res.. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 下家浩二: "Inhibition of phosphatidylinositol 3-kinase activity elevates c-Jun-terminal kinase activity in apoptosis of cultured cerebellar granule neurons"Dev. Brain Res.. 112. 245-253 (1999)

  • [文献書誌] 石川保幸: "Generation of reactive oxygen species, release of L-glutamate and activation of caspase are required for the high oxygen-induced apoptosis of embryonic hippocampal neurons in culture"Brain Res.. 824. 71-80 (1999)

  • [文献書誌] 山田雅司: "BDNF stimulates interaction of Shp2 with PI3-K and Grb2 in cultured cerebral cortical neurons"J. Neuochem.. 73. 41-49 (1999)

  • [文献書誌] 佐藤託実: "Regulation of reactive oxygen species by nerve growth factor but not by Bcl-2 as a novle mechanism of protection of PC12 cells from superoxide anion-induced death"J. Biochem.. 125. 952-959 (1999)

  • [文献書誌] 畠中寛: "化学同人"「化学の未来へ」脳細胞の神経にせまる-アポトーシスは脳をときあかす鍵-. 238(3-17) (1999)

  • [文献書誌] 山田雅司、畠中寛: "羊土社"「新アポトーシス実験法-基本操作と最先端の解析方-」培養中枢神経細胞を用いたアポトーシスの解析. 307(149-157) (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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