• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

動脈硬化の分子療法(抗ケモカイン療法)の開発 MCP-1の機能ブロックによる生体レベルでの病態解析と遺伝子治療法の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 11158216
研究機関九州大学

研究代表者

江頭 健輔  九州大学, 医学部, 講師 (60260379)

キーワード一酸化窒素 / 一酸化窒素 / アンジオテンシンII / 動脈硬化 / アポE欠損マウス / 炎症 / 血管内皮
研究概要

【目的】我々は、ラットに一酸化窒素(NO)合成阻害薬(Nω-nitro-L-arginine methyl ester、L-NAME)を投与すると3日後に心血管組織の炎症性変化[単球浸潤、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)産生増加など]が生じ、4週以降に冠血管の病的リモデリング(冠動脈中膜肥厚、線維化)が生じることを報告した。MCP-1は単球浸潤を特異的に制御するケモカインである。最近、MCP-1受容体CCR2欠損マウスとapolipoprotein E(apo E)欠損マウスを交配したマウスモデルで、動脈硬化形成におけるMCP-1/CCR2シグナル経路の重要性が示された。このことは、抗MCP-1療法が新たな遺伝子治療になりうることを示唆する。本研究の目的は、MCP-1受容体のdominant-negative inhibitorとして作用する変異型MCP-1遺伝子導入法が血管リモデリング/動脈硬化に対する新しい遺伝子治療戦略と成りうるかどうかを明らかにすることである。【方法・結果】本研究ではヒトMCP-1遺伝子のN末端の2-8番目のアミノ酸を欠損した変異型遺伝子(7ND)を使用した。7ND蛋白はin vitroでMCP-1受容体のdominant negative inhibitorとして作用した。7ND遺伝子を正常ラットの骨格筋へHVJ-liposome法を用いて導入することにより、recombinantヒトMCP-1皮下中によって誘導される皮膚への単球浸潤は完全に抑制された。L-NAME投与ラット骨格筋に7ND遺伝子あるいは生食を投与したところ、7ND遺伝子によって早期の炎症性変化ならびに後期の血管リモデリングの成立が抑制された。
【総括】これらの結果から、MCP-1受容体シグナル経路がNO産生抑制による血管リモデリングの形成に必要であること、この新しい遺伝子治療戦略が動脈硬化の新規治療手段になりうること、が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Usui Mなど.: "Pathogenic role of oxidative stress in vascular angiotensin-converting enzyme activation in long-term blockade of nitric oxide synthesis in rats."Hypertension. 34. 546-551 (1999)

  • [文献書誌] Usui Mなど.: "Important role of local angiotensin II activity mediated via type 1 receptor in the pathogenesis of cardiovascular inflammatory changes induced by blockade of nitric oxide synthesis."Circulation. 101. 305-310 (2000)

  • [文献書誌] Koyanagi Mなど.: "Role of transforming growth factor-β1 in cardiovascular inflammatory changes induced by chronic inhibition of nitric oxide synthesis."Hypertension.. 35. 86-96 (2000)

  • [文献書誌] Koyanagi Mなど.: "Role of monocyte chemoattractant protein-1 in cardiovascular remodeling induced by chronic blockade of nitric oxide synthesis in rats."Circulation. (印刷中). (2000)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi