SRECの構造遺伝子の塩基配列を決定しエクソン、イントロンの関係を明らかにした。新たなcDNAのクローン化によりオルタナティブスプライシングにより少なくとも五種類のSRECmRNAが存在することを明らかにした。そのうち二種類は可溶性のSRECをコードしており生理的なリガンドに結合することによりその生理機能を調節している可能性が示唆された。 数種のモノクローナル抗体を作製しヒト正常組織における分布を検討した。その結果意外なことにSRECは大脳の毛細血管内皮細胞での発現量が多いことが明らかになった。またモノクローナル抗体の一つはリガンドであるアセチルLDLとSRECの結合を阻害する活性を持つことが明らかとなり、血管内皮細胞におけるSRECの役割を検討する上で重要なツールとなりうることを明らかにした。 SRECの発現調節機構を検討するためSRECの転写開始点上流のプロモーター活性を検討し発現調節に重要な塩基配列を推定した。フットプリンティングとEMSAにより発現調節に重要な転写因子結合部位を推定しOne-Hybrid法により新規転写因子EZF-1cDNAをクローン化した。この転写因子はSRECのプロモーター活性を抑制することを明らかにした。さらに血管内皮細胞特異的な発現を担う転写因子に関する検討を行っている。 ノックアウトマウス作製のためマウスSRECcDNA及び構造遺伝子を単離し塩基配列を決定した。ターゲッテイングベクターに組み込んだ後、常法によりES細胞に導入し組み換え体を得た。キメラマウスを作製し、SRECノックアウトマウスを樹立した。ホモ、ヘテロ接合体とも外見上変化はなかった。現在詳細な解析を行っている。
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