研究概要 |
O-GlcNAc糖鎖は、蛋白のセリンやスレオニンのアミノ酸残基(Ser/Thr)に結合する糖鎖であり、UDP-GlcNAc-β-N-acetylglucosaminyltransferase(O-GlcNAc transferase)によって糖付加が行われると考えられている。この糖鎖の付加は細胞内蛋白(核蛋白、細胞質存在蛋白)のみに認められ、生命現象に重要な役目を担っていることが推測される。我々は、コレクチンの糖結合活性が上記の糖鎖とオーバーラップすることから、コレクチンのモチーフを利用して新規コレクチンのクローニングを企画し、細胞内糖鎖の機能を探ろうと考えた。 1)我々は、細胞質存在タイプの新規コレクチンを想定し、その遺伝子クローニングを試み、本年度候補遺伝子の一つCL-L1遺伝子のクローニングに成功した。さらにCL-L1遺伝子を大腸菌で発現させ、抗体作成を行い、本レクチンが細胞質存在型のレクチンであることを証明した(J.Biol.Chem.1999)。その後本レクチンのマウスホモローグをクローニングした。本レクチン遺伝子は非常に遺伝子保存率が高く、生体にとって重要な働きをしていることが示唆された。 2)レクチン遺伝子の機能を探るには、真核細胞での発現系が必須であり、新しいベクターを作成して、その発現系を確立し、その生物学的活性を比較検討した(J.lmmunol.Methods,1999)。またin vitro transcription & translationの系で本レクチン蛋白の作成を行い、レクチン活性を比較検討した。また、本蛋白は大腸菌を免疫して得られた抗体とも反応し、リガンドブロットや種々の実験を通して細胞内や組織におけるコレクチンの役割を検討している。
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