研究課題/領域番号 |
11160212
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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研究分担者 |
三原 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10304164)
今元 泰 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80263200)
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キーワード | 光情報伝達 / Photoactive Yellow Protein / 光反応中間体 / X線溶液散乱 / 光反応サイクル / 蛋白質・蛋白質相互作用 / クエン酸 |
研究概要 |
PYPは紅色光合成細菌から単離される水溶性の光受容蛋白質である。我々はPYPによる光情報変換の分子機構を理解するために、光吸収に伴うPYPの構造変化の検出、PYPの標的蛋白質との相互作用の解明を目的として研究を行っている。昨年度の研究の結果、PYPは光吸収により慣性半径が増加するような変化が起きることが明らかになっている。今年度は、PYPの光構造変化に対する様々な塩の効果について調べた。用いた塩は、リン酸などの無機塩、クエン酸、酢酸、プロパントリカルボン酸、グルタール酸などである。無機塩は、PYPの構造及び光構造変化、さらには光反応サイクルのキネティクスに影響を与えなかったが、有機酸由来の塩は、これらに影響を与えた。特に、クエン酸、プロパントリカルボン酸、グルタール酸ではその効果は顕著であった。X線溶液散乱の結果、これらの塩が、光反応中間体に特異的に結合していることが示唆された。リン酸ではこのようなことが起きない。この結果は、PYPの標的が蛋白質であって核酸ではないことを強く示している。さらに、酢酸ではこの効果が見られないことから、PYPと有機酸との相互作用には、2価以上の不電荷が必要であること、適当な分子サイズが要求されることなどが予想される。これらは、PYPが標的蛋白質を認識する上での重要な要因であると考えている。また、様々な変異体を作成し、その変異体の構造安定性と、光反応サイクルのキネティクスを調べたところ、熱変性の変性中点温度と光反応サイクルの時定数との間には強い相関が見られた。光反応中間体の構造は、部分的にほどけた構造であることを示唆する。X線溶液散乱により溶液構造を詳細に調べている。
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