研究課題/領域番号 |
11161210
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40000971)
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研究分担者 |
三宅 修司 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50239365)
吉澤 靖幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20174914)
清水 則夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30226245)
中村 哲也 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30189047)
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キーワード | AIDS / HIV-1 / 日和見感染症 / Tリンパ球 / 細胞治療 / 免疫治療 |
研究概要 |
AIDSにともない発生する難治性日和見感染症を治療するため、患者T細胞をHIV増殖陰性の状態で活性化培養する研究を行ない、固相化CD3抗体+IL-2刺激(CD3-AT法)により効率良く患者T細胞を増殖させられることを見い出した。また、培養過程で一過性のHIV増殖が検出されたが、培養を継続することによりHIVは検出されなくなった。CD3-AT法で培養したT細胞による癌および感染症治療はすでに実用化されているため、実際に患者の治療を行なうことを計画し、以下の結果を得た。 1.末期AIDS患者を含む約40人のHIV感染者T細胞をHIV増殖陰性の状態で培養することができた。 2.東京大学医科学研究所の治験委員会の許可と患者あるいは患者家族の承諾を得て、3例のAIDS患者(PML、CMV網膜炎、悪性リンパ腫)に活性化T細胞を投与した。その結果、PML、CMV網膜炎に対して一定の治療効果があることが示唆されたが、悪性リンパ腫に対しては無効だった。 3.病期が進んだAIDS患者ではT細胞の多様性が減少するため、活性化T細胞を調製し投与しても治療効果が十分でない可能性がある。上記悪性リンパ腫患者において治療効果が観察されなかった原因もこの点にある可能性がある。この点を克服するためには、感染後なるべく早期のT細胞の多様性が残っている時点で活性化T細胞を準備し凍結保存することが必要と考えている。活性化T細胞を凍結保存し、再度活性化培養する試みはすでに癌および感染症患者の治療で実用化されている。AIDS患者の活性化T細胞を凍結保存し、1年後に再度活性化培養する実験を行なったところ、融解した細胞の生存率は良好でさらに再度活性化培養しても全く問題なく細胞増殖を誘導でき、しかもHIV増殖は陰性であることが明らかとなった。今後、感染後早期に調整し凍結保存した細胞を使用した細胞治療を行なうことを計画している。
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