GRIF-1遺伝子を導入した細胞株を用いて、GRIF-1遺伝子の発現制御と顆粒球分化との関連性を解析したGRIF-1遺伝子を導入した前骨髄性白血病細胞株HL-60細胞を顆粒球への分化を誘導する薬物である全transレチノイン酸やDMSO存在下で培養すると、培養4日後から対照群に比べてCD11bの発現や活性酸素の産生が強く生じるようになり、顆粒球様の形態を示す細胞が増加した。また、これに伴ってGRIF-1遺伝子の発現量も増加した。また、赤白血病細胞株であるK562細胞にGRIF-1遺伝子を導入して、同様の刺激をした場合にもGRIF-1の発現が上昇した。GRIF-1遺伝子を導入した細胞を全transレチノイン酸やDMSO存在下で培養すると、対照群に比べて顆粒球分化に伴って生じることが知られているmyeloblastin遺伝子やc-myc遺伝子の発現低下が早く生じ、また、これらの遺伝子の発現はGRIF-1遺伝子の発現に伴って低下した。従って、GRIF-1遺伝子を導入すると、顆粒球への分化が促進されることが明らかになった。また、この細胞を単球様細胞に分化を誘導するphorbol myristate 13-acetate存在下で培養すると、GRIF-1遺伝子の発現量が増加したものの、単球様細胞のマーカーであるnon specific elastaseの発現は増加しなかった。以上の結果から、GRIF-1の発現の増加は顆粒球への分化の亢進と深く関わっていることが示唆された。
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