(1)cum1-1変異株の解析:キュウリモザイクウイルス(CMV)の移行蛋白質(MP)存在下でのプラスモデスマーダのsize exclusion limit(SEL)の比較を、シロイヌナズナcum1-1変異株と野生型株の間で行う目的で、CMVのMPを発現するcum1-1変異株および野生株由来の形質転換体を作製した。得られた形質転換体におけるCMV MPの発現レベルをウエスタン法により解析したところ、発現レベルは大きくばらつくものの、平均すると野生株における蓄積よりも変異株における蓄積の方が低いことを見いだした。 CUM1遺伝子産物がプラスモデスマータの構成要素あるいはその機能調節因子である可能性を考慮すると、cum1-1変異株において微細形態に異常がみられる可能性も考えられる。そこで、cum1-1変異株および野生株の根を樹脂包埋して横断切片を作製し観測を行ったが、樹脂を浸透させるステップにおいてある確率でアーティファクトがはいる(変異株の維管束部が潰れる)ことが明らかになった。そこで、生試料をアガロース包埋してビブラトームで切って観察した。その結果、変異株においては細胞の形、あるいは並び方が不規則になる傾向が見られた。しかし、その差は微妙で、それを表現する適当なパラメーターが見いだせず、また、現時点ではその差がcuml変位自体に付随することを容易に示すことができないので、これ以上の解析はとりあえずストップすることにした。 (2)CUM1遺伝子座のクローン化:ファインマッピングによりCUM1遺伝子の存在しうる範囲を約60kbpの領域に狭めた。
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