研究課題/領域番号 |
11163222
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
岩崎 行玄 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (20193732)
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研究分担者 |
石川 敦司 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (70264687)
旭 正 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (10023392)
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キーワード | Gibberellin / G protein / plant hormone / Rice / Transgenic rice |
研究概要 |
我々は、1999年に、イネ矮性変異体、大黒(d1)の変異源となる遺伝子が、3量体Gタンパク質αサブユニット遺伝子であることを解明した。この変異体は矮性、短粒、濃緑葉などの特徴のある表現型を示すことから、イネ3量体Gタンパク質は、節間や種子形成に必須の働きをしていることを示している。本研究課題においては、この変異体を利用して、3量体Gタンパク質が関与する外来シグナルとエフェクターの同定を目指した。 「研究実績」 (1)1nM濃度のジベレリン(低濃度)を半種子に投与した場合、野生型イネは一定量のαアミラーゼを蓄積していたが、大黒d1はαアミラーゼの生合成能が検出限界以下であった。1μM濃度ジベレリン存在下(高濃度)では、大黒d1も野生型に匹敵するαアミラーゼを蓄積した。第2葉鞘にジベレリンを添加して、その伸長促進効果を解析したところ、低濃度ジベレリンでは、野生型イネが一定程度の伸長促進が観察されるにも関わらず、大黒d1は伸長しなかった。高濃度のジベレリンを投与した場合、大黒d1も、一定程度の伸長促進効果が見られた。以上の知見は、イネ3量体Gタンパク質は、低濃度のジベレリン情報伝達系に関与していることを示しているとともに、ジベレリン情報伝達系は複数の異なった受容機構が存在することを示している。3量体Gタンパク質αサブユニットのゲノミックDNAのプロモーター領域にGUS遺伝子を連結し、これを導入した形質転換植物を作成したT2種子において、アリューロン層にGUSの発現を確認した。この組織は、ジベレリンのシグナルを受けて、αアミラーゼを合成する組織である。発現部位の結果は、3量体G蛋白質がジベレリン情報伝達に関与することを裏ずけた。 (2)ジベレリン以外の植物ホルモンとして、ブラシノライド、オーキシン、ABA、サイトカイニンに着目して、大黒d1のホルモン応答実験を行ったが、上記すべての植物ホルモンの応答性は、野生型と大黒d1で、有為な差は見られなかった。
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