研究課題/領域番号 |
11164101
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 京都国立博物館 |
研究代表者 |
中川 久定 京都国立博物館, 館長 (20023559)
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研究分担者 |
羽田 正 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40183090)
中川 純男 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60116168)
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
松浦 純 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70107522)
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キーワード | 古典の継承 / アリストテレス哲学 / 『シャーナーメ』 / ルター / ルネサンス / 『オルガノン』 / 『百科全書』 / 古典文献学者 |
研究概要 |
本調整班では、研究分担者それぞれの専門とする分野において、近現代社会への古典の継承がどのように行われているかを次のような形で検討してきた。 ヨーロッパ中世--アリストテレス哲学が、中世ヨーロッパで、権威として受け入れられたのはいかなる理由によるかを検討中である。(中川純男) 中世イラン--英雄叙事詩『シャーナーメ』の写本調査を実施し、英国図書館より挿絵の含まれた良質写本14点のマイクロフィルムをとり寄せ、その読解を進めている。(羽田正) 中世ドイツ--ルターによる聖書のドイツ語訳を中心に研究を進めている。ルター自身の書き込みによる校訂作業のうち、引用の出典確認と、参照された諸版(古印刷本)の確定作業を進めた。同時に、当分野の研究状況の把握にも努めている。(松浦純) ルネサンス期フランス--ルネサンス期の大学学芸学部におけるアリストテレスの『オルガノン』講義を当面の対象として、スコラ学からの変容の過程を明らかにした。(月村辰雄) 18世紀フランス--『百科全書』本巻(1751-1765年)の項目を手掛かりにして、ギリシャ・ラテンの古典に対するヨーロッパ知識人の意識の変容を検討した。古典(中・高等学校の生徒に対して教えるに値する、と判断されたギリシャ・ラテン作家の著作)は、17世紀以来、文体の卓越性によって権威をもつテクストとして扱われてきた。だが18世紀半ばになると知識人は、古典テクストを、テクストそのものとして重視する立場(古典文献学者)と、自らの問題意識のために利用する立場(批評家)とに分化してくる。その過程を明らかにした。(中川久定)
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