研究課題/領域番号 |
11164206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
五味 文彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60011326)
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研究分担者 |
本郷 和人 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (80209311)
近藤 成一 東京大学, 史料編さん所, 教授 (90153717)
安田 次郎 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60126191)
井上 聡 東京大学, 史料編さん所, 助手 (20302656)
尾上 陽介 東京大学, 史料編さん所, 助手 (00242157)
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キーワード | 明月記 / 吾妻鏡 / 藤原定家 / 鎌倉幕府 / 日記 / 歴史書 / 古典学 / 中世文化 |
研究概要 |
『明月記』班と『吾妻鏡』班に別れて研究を行った。『明月記』班では『明月記』自筆本の徹底的な研究を進め、注釈や現代語訳などにより古典を現代に引きつけて探り、さらに『明月記』の記主の定家の多角的な研究を行うことなどを目指した。 その結果、『明月記』治承四・五年記の原本調査を実施してテキストを確定し、その注釈と現代語訳を完成した。さらに『明月記』の自筆本の収集と分析によって料紙の利用方法や書写の態度もわかった。さらに定家が日記や文書に関する多角的な分析を通じて、日記の書写の動機も明らかになり、ここに『明月記』の基本的な性格はほぼ明らかになったといえよう。 次に『吾妻鏡』班では、写本研究を徹底的に行うとともに、『吾妻鏡』の表現方法にメスを入れることを目指した。北条本や吉川本などの写本の収集を行い、それぞれがどのような意図に沿って収集されてきたのか、いかにして形成されてきたのかを探った。 その結果、室町時代までは先例を求めて利用されてきたものが、戦国時代以後に武家政権のあり方を探る目的に沿って全体像を復元することが行われ、ついに江戸時代になって古典の地位を獲得するに至ったことが明らかになった。また『吾妻鏡』の編纂については、鎌倉幕府の奉行人の日記のほかに、永仁年間に幕府に提出された文書などが広く利用されていたことが明らかとなり、永仁年間を過ぎた十三世紀の初頭に幕府の奉行人である三善時連が編纂の中心にいたことがほぼ明らかになり、編纂意図も見えてきた。
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