本計画研究の目的は主として3つあった。 (1)古典のテキストの読解の理論と技法の実際について、古典学の諸分野との共同研究から学びつつ、旧約聖書学の場合について整理反省すること。これはシンポジウムや研究会で進めつつあり、就中ニューズレター5号に掲載した上山春平氏とのイスラエル学をめぐる対談にその成果が発表されている。 (2)解釈の歴史的意味規定と思想的意味規定の望ましいバランスについての理論を模索し、旧約解釈の場合に実際に適用する研究の成果は、二つの編著『死生観と生命倫理』『性と結婚』に纏めて発表した。 (3)そうした解釈学的な吟味を踏まえて更に、具体的な翻訳の方法論と実践例を呈示することは、岩波書店から刊行予定の『エレミヤ書』の翻訳で現在進めつつある。今年度は、Glossaryのデータベイス化等基礎作業を終え、約三分の一を訳し終えたところである。
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