本計画研究の目的は主として3つあった。 (1)古典のテキストの読解の理論と技法の実際について、古典学の諸分野との共同研究から学びつつ、旧約聖書学の場合について整理反省すること。これはシンポジウムや研究会で進めつつあり、関根は旧約の倫理思想の解釈をギリシアの倫理思想との比較において考察するのに実際に適用した研究の成果を、『倫理思想の源流ギリシアとヘブライの場合』放送大学教育振興会、2001年、344頁という単著に纏めて公にした。 (2)解釈の歴史的意味規定と思想的意味規定の望ましいバランスについての理論を模索し、月本昭男は、「イザヤ書6章9-10節をめぐって」『聖書学論集』33号、2001年、129-139頁という論考において発表した。 (3)そうした解釈学的な吟味を踏まえて更に、具体的な翻訳の方法論と実践例を呈示することを関根は、岩波書店から刊行予定の『エレミヤ書』の翻訳で現在進めつつある。今年度は、Glossaryのデータベイス化等基礎作業を終え、既に九割方の作業を終えたところである。
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