研究概要 |
古典レトリックが復活した15世紀から,これが中等教育プログラムの中核に据えられた17世紀にかけてのレトリック教育について,新興の各種学校,すなわち共同生活兄弟会,プロテスタント系の諸学校,またイエズス会のコレージュなどのカリキュラムの分析を通じて,レトリックという教科目の進展を跡付けた。さらに,レトリックと社会との結びつきの観点から,キケロ派とその支持層,ペリオド文を基盤とする伝統的レトリックとそれに対抗するネグリゲンティア・ディリゲンス,ないし「例証のレトリック」派との争い,旧来の大学学芸学部のカリキュラム内におけるレトリックとディアレクティックとの争い,また,レトリック教科書における抜萃主義,などの問題点を取り出し,その基本的な構造の解明に当った。特に研究分担者浦は,イタリアにおけるレトリック史の考察に向かい、ブルネット・ラティーニ,ダンテ,ペトラルカなど初期人文主義の流れの中に古典レトリック再生の機運を明らかにした。
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