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1999 年度 実績報告書

初期ギリシア文学におけるゼウスの主権

研究課題

研究課題/領域番号 11164229
研究機関金沢大学

研究代表者

安村 典子  金沢大学, 工学部, 教授 (20293376)

キーワード語りの手法 / オデュッセイア / デーモドコス / 入れ子構造 / ホメーロス風讃歌 / アポローン讃歌 / ヘルメース讃歌 / 円環構造
研究概要

『オデュッセイア』第8巻においてデーモドコスによって歌われるアプロディーテーとアレースの情事の顛末は、従来『オデュッセイア』の筋とは本質的な関わりをもたない、娯楽的要素の強い挿話として取り扱われることが多かった。しかしこの部分の語りの手法を検討することによって、この歌が「入れ子構造」の形式をとっており、しかも『オデュッセイア』の主題と深く関係していることがわかった。すなわち「放浪の旅人の正体は何者か」というテーマでデーモドコスの第一,第三の歌と関わり、「不利な条件の下で妻を奪い返す」という点で、『オデュッセイア』全体のライトモティーフと関わっていることが明らかにされた。
また『ホメーロス風讃歌』第三番の『アポローン讃歌』においても「テユポーンの物語」は伝統的に、本筋から離れた挿入物語としてとり扱われてきた。しかし雌蛇の話、へ一ラーの出産物語が、このテユポーン物語を中心とする「円環構造」をなしており、内容的にも本讃歌全体の中で、きわめて重要な部分を形成していることがわかった。
『ホメーロス風讃歌』第四番の『ヘルメース讃歌』においては、ヘルメース神の多岐にわたる権能が螺旋状に配置され、その語りの手法自体が、狡知にたけた早業の神ヘルメースを巧みに表現するものであることが解明された。
以上のように、初期ギリシア文学作品に見られる特異な「語りの手法」を細かく検討することにより、その部分の文学的価値、並びにその部分と作品全体との関わりが解明された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Norko YASUMURA: "The Second Song of Demodokos in the Odyssey 8.266-366"Studies of Language and Culture Foreign Language Institute, Kanazawa University. Vol.2. 173-194 (1998)

  • [文献書誌] 安村典子: "ホメーロス風賛歌第三番『アポローンへの賛歌』におけるテュポーンの神話"西洋古典論集、京都大学西洋古典研究会. 15号. 1-23 (1998)

  • [文献書誌] Noriko YASUMURA: "Imaginative Intelligence of Hermes in the Homeric Hymn IV"金沢大学文学部『文学部論集』. 19号. 141-162 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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