研究課題/領域番号 |
11164232
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
間野 英二 京都大学, 文学研究科, 教授 (10027964)
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研究分担者 |
真下 裕之 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (70303899)
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キーワード | チャガタイ・トルコ語 / ペルシア語 / ティムール朝 / ムガル朝 / バーブル / ホージャ・アフラール / ワーリディーヤ / アサド・ベグ |
研究概要 |
本年度は間野が、学界ではすでに散逸したと考えられていた16世紀中央アジアのイスラーム神秘主義者ホージャ・ウバイドゥッラー・アフラールの著作『ワーリディーヤ(父のための書)』のペルシア語写本をトルコ共和国のスレイマニエ図書館で調査し、5種の写本のコピーを入手した。また、ウズベキスタン共和国の科学アカデミー東洋学研究所所蔵の書写年代の古い1写本のコピーをも入手した。これらの写本を利用して、『ワーリディーヤ』の内容を検討した結果、校訂テキストを出版する価値が十分にあることが判明した。そのため、現在、コンピュータを利用して校訂本出版に向けてテキストを入力中であり、作業をほぼ終了している。この『ワーリディーヤ』はムガル朝の創設者バーブルによってチャガタイ・トルコ語の韻文に訳出された。この訳文とホージャ・アフラールの原文を比較したところ、通説とは異なり、バーブルの訳が原文をきわめて忠実に訳出したものであることが判明した。これらの諸点については『慶煕史学』に論文として発表する予定である。間野はこの他にイタリア共和国のパレルモに出張し、イスラーム関係の文献を調査したが、アラブ語文献が主で、チャガタイ・トルコ語、ペルシア語関係の文献については当地に見るべきものがないことを確認した。 真下は、ムガル朝時代の文人アサド・ベグの回想録について研究し、これがアクバル時代末期についての重要な一次史料であり、校訂本出版の価値を有し、現存する5点の写本のうち、アーンドラ・プラデーシュ州東洋写本図書館所蔵本を校訂作業の底本とすべきとの結論を導いた。この大要は2001年11月の東洋史研究会大会で報告した。またフランス国立図書館に出張してペルシア語写本の調査を行い、ムガル朝時代の年代記『タバカーテ・アクバリー』の諸写本を調査した他、デカンのイスラーム政権に関する未公刊史料の写本数点の複写を入手した。 【以上、794字。】
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