研究課題/領域番号 |
11164241
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中務 哲郎 京都大学, 文学研究科, 教授 (50093282)
|
研究分担者 |
南川 高志 京都大学, 文学研究科, 教授 (40174099)
クレイク エリザベス・メアリ 京都大学, 文学研究科, 教授 (10293846)
|
キーワード | イソップ寓話集 / 比較説話学 / ヒポクラテス集成 / 古代医学 / ヒストリア・アウグスタ |
研究概要 |
(「イソップ寓話集」)。中務はイソップの名で呼ばれる寓話集の中にはイソップよりも遥かに古く、シュメール・バビロニアからギリシアに入ったと考えられる「蚊と牛」 「鷲と狐」、エジプトに起源すると考えられる「胃袋と足」などの寓話があることを比較説話学的に確かめた。また寓話は文学作品の中に引用されることにより文脈との関わりが生じて新たな意味が付与されるので、あらゆるギリシア文学の中に引用されるイソップ寓話を探し出し、そのリストを作成した。 (「ヒポクラテス集成」)。クレイクは文体論および内容の検討から「ヒポクラテス集成」の中の諸論文の相対年代の確定を行った。同時代の文学・哲学作品との比較が有効で、プラトン『饗宴』185C-193Dに展開されるエリュクシマコスとアリストパネスのスピーチには「集成」中の『養生法』『古い医術について』『風気(体内の風)』に見える医学用語が用いられていることを指摘した。また12年度は特に、人体組織に関する観念の発達および健康の悪化と発病を引き起こすと考えられた身体的変化についての観念に注目して研究を行った。 (「ヒストリア・アウグスタ」)。本書は史料不足の時代を考察する際の貴重な文献であり、南川はそのラテン語古典文学作品としての価値を検討するにとどまらず、ローマ帝国の政治史を専攻する歴史学者としての立場から、作者・成立年代・歴史研究史料としての信憑性等の研究を通じて、本書が紀元2,3世紀の政治史研究にどの程度活用できるか、また執筆された古代末期の理解のためにどの程度資するものかを解明することに努めた。
|