研究概要 |
1.古典期インドにおける言語(言語哲学)の展開と、文法学がそれに果たした役割の解明を主たる研究テーマとし、古典テキストの読解-特にここでは『ヴァーキヤ・パティーヤ』と『ニヤーヤ・マンジャリー』についての文献学と電子的テキスト処理方法を駆使した読解研究-によってその正確な把握を試み、さらにインド古典期の思想・論理体系の構造解明をも視野にいれることによって、古典期インドの言語論のうちに見て取れる世界像を明らかにすることが本研究の目的である。 2.この目的を達成するために、本研究では、古典言語論テキストのデータベース化を行うことと、普遍的な枠組みの中にインド古典期の言語論を位置付けるための比較論的考察を語彙研究(セマンティク・スタディー)のレベルで行うこと、そして翻訳の問題を明確に捉えて日本語による新たな翻訳の可能性を模索すること、という作業を設定した。 3.今年度は、主たるテキストとして『ヴァーキヤ・パディーヤ』を選び、その第二巻の本文および注釈テキストのデータベース化を完成し、さらに第三巻の本文およびヘーラーラージャの注釈テキストのデータベース化にかかった。既に作成を終わっていた第一巻のテキスト・データベースとともに、これらを整備し、いずれネット上に公開する予定である。散文の古典サンスクリット・テキストをどうような形でデジタルテキスト化するかは、いまだその方法が各方面で模索中であるが、一つの形を提示できるものと考える。 4.第一巻と第二巻のテキスト・データベースをもとにして、主として当時の存在論と論理学にかかわる語彙(dravya,guna,jati,anumana,aqurvaなど)を選んで、語彙研究を行った。また分担者は、仏教認識論における鍵概念たる「意知覚」(manasa)についての語彙研究を行った。
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