1、情報化、電子化に対応する研究体制の整備 科学研究費により研究室に研究専用のパソコンー式を導入することができた。これにより、CDロム等を利用したより効率的な本文研究、検索、Eメールを用いた研究者間のより緊密な連絡や連携が可能になった。特に、海外の研究状況視察のための事前打ち合わせなどに非常に有効であった。 2、海外における研究状況の視察 旧約聖書の歴史伝承についての編集史的研究で長い伝統と最先端の研究業績を誇るドイツの大学における研究状況を視察、調査することができた。ゲッティンゲン大学ではE・アウレリウス教授、U・ベッカー講師、ミュンヘン大学ではE・オットー教授、C・レビン教授と面談し、モーセ五書と申命記史書の成立史、編集史についてのドイツにおける最新の研究動向について多くの有益な知見を得ることができた。同時にドイツにおいて1999年から2000年にかけて発行された多数の重要な研究書や、日本においては入手困難な文献を購入ないし複写することができた。 3、基本的な資料の収集 東京進学大学図書館、立教大学図書館、ルーテル学院大学図書館などで資料収集を行い、旧約聖書の歴史伝承の研究に欠かせない多くの資料の借り出し、もしくは複写をすることができた。 4、他領域の古典学研究者との交流 「古典学の再構築」総括班主催の公開シンポジウム(平成11年7月17〜18日)に参加し、本特定領域研究全体の意義についてより認識を深めるとともに、他の領域の研究者との交流や情報交換を行うことができた。 5、研究への着手 上記の出張、資料収集等に基づき得られた知見や資料に基づき、現在、サムエル記下7章(いわゆる「ナタン預言」)のテキストの成立過程についての伝承史的、編集史的研究に着手している。その成果はまず本年(平成12年)6月に日本聖書学研究所において発表し、引き続き本年度中に論文化する予定である。
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