研究概要 |
本年度は、まず、海外で発行されている様々な研究書ならびに学術雑誌論文において公刊されている北西セム語碑文の蒐集を行った.と同時に,本化学研究費によって購入したコンピュータを用いてこれらの碑文資料をデータベース化するための準備作業を進めた.そうした作業と並行してヘブライ語聖書本文研究は継続的に進めてきた.1999年度までの研究成果の一端は以下の通り. 1)旧約聖書翻訳委員会編「エゼキエル書」(岩波書店1999年12月,担当者月本昭男).本書で報告者は旧約聖書エゼキエル書の本文研究に基づく翻訳を試み,本文に関する脚注と解説を付した. 2)論文「旧約聖書の日本語訳」,鈴木範久監修『日本人と聖書』(大明堂2000年3月刊行)所収.この論文は本文批評学的見地に基づき,従来の邦訳旧約聖書にみられる思想的な問題性を指摘したものである. 3)W・レッリヒ(Rollig,W.)との共著論文"Mittelassyrische Texte zum Anbau der Gewurzpflanzen",in B.Bock/E.Cancik-Kirschbaum/T.Richter,eds.,Munuschla Mesopotamica(FSJ.Renger),Munster : Ugarit-Verlag 1999, 427-443.この論文は香辛作物栽培に関するシリア出土のアッカド語文書(前13世紀)の解読・解説であり,北西セム語研究が生かされている.
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