研究概要 |
古典テキストの文章の数量的特質(文長,品詞の出現頻度,単語の出現頻度等)の計量分析を中心に,従来の古典学の研究法とは異なる切り口で古典を分析する方法を確立し,古典学研究の新しい分野を開拓することが本研究の目的である。今年度は下記の文献・源氏物語及び関連文献・梵文法華経,八千頌般若経,十地経・井原西鶴全作品を対象として研究を進めた。 (1)『源氏物語』の計量分析 『源氏物語』54巻の成立順序を検討するため,助詞を中心に分析を行った。また『紫式部日記』,『雲隠六帖』,『山路の露』,『手枕』等の『源氏物語』関連文献に関しても分析を試みた。 (2)サンスクリット大乗仏典『法華経』,『八千頒般若経』,『十地経』の計量分析 『法華経』の前後に成立した『八千頒般若経』,『十地経』の文章の特徴比較から,いまだ明確となっていない『法華経』27巻の成立順序の推定を試みた。 (3)井原西鶴作品の計量分析 計量分析のために,西鶴作品の次の5作品(『西鶴諸国はなし』,『本朝二十不孝』,『男色大鑑』,『武道伝来記』,『好色盛衰記』)のデータベースを構築した。
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