研究概要 |
三種類の古典文献に関し計量的分析を行った。 (1)『源氏物語』の計量分析 『源氏物語』と同時期の『うつほ物語』のデータベースを作成し、助動詞、助詞、副詞、形容動詞、形容詞、名詞、動詞、など各品詞の言葉の出現率の観点から『源氏物語』と『うつほ物語』の比較分析を行い、ほぼ同時期に成立したにもかかわらず用いている言葉、特に副詞、形容動詞、助詞、形容詞にかなり差異があるという、興味深い結果を得た。 (2)『法華経』の計量分析 『法華経』27巻の成立順等を研究するため、『法華経』及び『法華経』の前後に成立した『八千頌般若経』、『十地経』のサンスクリット語のデータベースを作成し,出現した言葉の頻度の観点から、三教典の文章の比較分析を試み、『法華経』27巻の成立を推定するのに有効となる知見を得た。 (3)井原西鶴作品の計量分析 西鶴作品の複数著者説を検討するため、西鶴散文作品のデータベースの作成を行った。今年度は、『懐鏡』、『日本永代蔵』、『色里三所世帯』、『武家義理物語』、『嵐無常物語』、『新可笑記』、『本朝桜陰比事』の作品のデータベースを作成し、既に完成している10作品のデータベースと合せて、基礎的な計量分析を行った。
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