研究課題/領域番号 |
11165201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 一茂 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128579)
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研究分担者 |
松永 悟明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10222308)
市村 晃一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
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キーワード | STM / カーボンナノチューブ / 電子状態密度 |
研究概要 |
カーボンナノチューブの電子状態を調べるため、トンネル顕微鏡(STM)装置の整備を行い、原子像観察およびSTM分光(STS)測定を行った。 カーボンナノチューブの低温における電子状態を調べるためには、STM装置の低温度領域での安定動作が不可欠である。このため、温度コントローラを購入し低温域における温度の安定制御を計るとともに、高精度プリアンプを導入し、トンネル電流検出精度の向上を行った。この結果、1.4Kまでの温度域での測定が安定して行えるようになった。この装置を用いてカーボンナノチューブ試料の測定を進行している。 まず、金属触媒を用いたアーク放電法により作成されたカーボンナノチューブ試料を電子顕微鏡により観察し、単層のカーボンナノチューブがバンドルを形成していることを確認した。この試料をグラファイトの清浄表面に拡散させたものをSTM測定に用いた。現在のところ、カーボンナノチューブのバンドルの観察に成功しているが、個々の単層ナノチューブの原子配列から、そのカイラリティを求めるにはいたっていない。今後、試料の精製を含めて、表面の清浄化を試行することにより可能になると考えられる。一方、STSの予備的測定では、そのトンネル微分伝導度から金属状態にあると考えられる単層カーボンチューブの電子状態密度が観測された。特に、1V付近に観測された状態密度のピークの分裂は理論的予測と合致しており、今後さらに精度を高めた測定から明らかいされることが期待される。
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