研究概要 |
本研究では単一サイズのナノチューブを作製し、その電子的物性をラマン散乱分光などの各種光学測定及び電子エネルギー損失分光によって明らかにする。炭素でできたナノチューブはグラファイト1層を丸めて、円筒状につなぎ合わせた形状の1次元物質である。このナノチューブの最も基本的で特徴的な物性である直径に依存する振動状態及び電子状態を測定して金属と半導体状態の違いを共鳴ラマン散乱及び電子エネルギー損失分光により実験的に明らかにする。 試料は炭素電極のアーク放電法によって作製した。試料の純度と直径の均一性を高めるため、陽極にFe/Ni,Co/Ni,Gd/Ndの二種類の金属を混合し、その比を変えて直径が1.1〜1.4nmの範囲で直径が揃ってしかも高純度の試料を作製した。得られた試料につきラマン散乱を行い、共鳴効果を観測してピークの振動エネルギー及びその直径依存性をグラファイトの分散関係がナノチューブの対称性に従って折り返される効果として説明した。
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