本年度は、単層カーボンナノチューブの集合体(圧縮成形薄片状固体)を対象として取り上げ、その固体中での一本のチューブおよびそれらが束となったバンドルについて、トンネル顕微鏡による原子サイズ分解能でのSTM像観察および局所的STS解析を、室温および25Kで行った。STM像からは、炭素原子の結合交代に基づくものと考えられるチューブの電子構造の強い一次元性が顕著に見られること、さらにSTS解析の結果からは同一のバンドル内のチューブは同種の電子構造をもっており、異なるバンドル同志では異種になっているように思われる結果が得られた。また、低温でのSTS解析から、金属的な一次元電子構造は低温では不安定で殆どのチューブは低温では絶縁体的電子構造をもっているという結果が得られた。
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