研究課題/領域番号 |
11165240
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
安藤 義則 名城大学, 理工学部, 教授 (30076591)
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研究分担者 |
坂東 俊治 科学技術振興事業団, ナノチューブ状物質プロジェクト, 研究員
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キーワード | 多層カーボンナノチューブ / 単層カーボンナノチューブ / 水素ガス中アーク放電 / 空気中加熱精製 / ナノ粒子 / X線回折 / ラマン散乱 / 電気伝導度 |
研究概要 |
我々は、純粋なグラファイト棒を直流アーク放電で蒸発した際の陰極堆積物として、多層カーボンナノチューブを作製してきた。その際、雰囲気ガスとして純粋な水素ガスを用いることにより、混入するカーボンナノ粒子の割合が少ない最も良質のカーボンナノチューブが作製できることも見いだした。このように、もともと良質のカーボンナノチューブができている場合は、混入しているナノ粒子を除去して精製することも容易である。実際、空気中で赤外線放射ヒーターで500℃に30分加熱するという単純な物理的方法で、容易に、精製した多層カーボンナノチューブが得られた。問題は、このように良質な多層カーボンナノチューブはアーク放電が安定に生じている1分以内の蒸発でした得られなかったので、生成量が体積にして10mm^2×0.1mm=1mm^3程度、質量にすると1mgを切る程度に少ないということであった。本研究では、その点を改良すべく、電極自動送り装置を開発して、10分以上の間アーク放電を安定に継続できる装置を作製した。それによって、1回の蒸発で150mg程度の多層カーボンナノチューブとナノ粒子の混合堆積物が作製できるようになった。現在、それを精製して純度の高い多層チューブとして、ある程度の量を得つつある。 一方、単層カーボンナノチューブの場合には、触媒金属の存在が不可欠であり、特に適当な2種類の金属触媒を含むグラファイト棒を、レーザー法あるいはアーク法で蒸発させることにより、効率よく作製できることが知られている。本研究では、蒸発の際の雰囲気温度を変えたり、蒸発電極の幾何学的配置を変えるなどして、大量に単層カーボンナノチューブが作製できる条件を見いだしてきた。その結果、精製前の段階としてなら数グラムオーダーの試料でも容易に得られるようになった。現在、この様にして作製した単層カーボンナノチューブの精製法として最も適した方法を模索し、ある程度の見通しを得つつある。
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