4f電子殻を持つランタノイド金属はフラーレン炭素ケージに内包される。4f殻電子物性の特異性と、新奇なフラーレンネットワークによる配位子場摂動が相まって全く新しい伝導性・磁性が期待される。そのような物性発現の根元である金属内包フラーレンの電子(スピン)構造を明らかにしてきた。この研究を通して、フラーレンネットワークに内包したランタノイド金属の新しいランタノイド化学・4f電子スピン化学への発展が強く期待できる。 これまでに我々は金属内包フラーレンSc@C_<82>、Y@C_<82>、La@C_<82>、Gd@C_<82>、Pr@C_<82>、Sc_3@C_<82>を単離・精製して、電子吸収スペクトル、電子スピン共鳴スペクトル、サイクロボルタモグフを測定した。その結果それぞれの金属内包フラーレンの分子構造、電子状態、電子スピン状態、酸化・還元電位を決定した。以上の報告をまとめると、一連のランタナイド金属法内フラーレンが持つ電子(スピン)状態を系統的に予測・説明できる。この系統的な説明の上に新しい実測データを加えるため、電子スピン共鳴(ESR)測定特に高磁場測定やパルス測定を行った。金属内包フローレンLa@C_<82>の単離・精製システムを完成し、パルスESRでENDOR、HYSCORE測定を行い^<13>C核や^<139>La核の核双極子相互作用、核四重極子相互作用を決定した。
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